暗視スコープ(ナイトビジョン)の仕組み。世代によって仕組みが違う

「暗視スコープ」とは、非常に弱い光でもそれを観測・増幅・映像化する暗視装置のうち、単眼鏡の形をしているものを言います。「ナイトビジョン」と呼ばれることもあります。

もともとは第二次世界大戦に際して、ドイツ軍やアメリカ軍が夜間戦闘を有利に進める目的で開発した軍事用品でしたが、現在ではサバイバルゲームや狩りなどにおいて使用されることもあります。

暗視スコープには2種類あり、それぞれアクティブ方式(自分で近赤外線を照射し、その反射光を利用する)とパッシブ方式(その場に存在する光を利用する)として区別されますが、光を増幅するメカニズムは基本的に共通しています。

この記事では、そのメカニズムについてご説明します。

 

”暗所を明るく見る”仕組み

暗視スコープはなぜ暗所を明るく映し出せるのでしょうか。

その仕組みは、

  • 光を集める
  • 光子を多数の電子に変換する
  • 増えた電子を使って映像を映し出す

という3つの過程を経て微弱な光を増幅するというものです。

次の見出しからはそれぞれの段階について解説していきます。

①光を集める

どんなに暗い場所であっても、ほとんどの場合そこには微弱な光が存在します。月明かり・星明かりのような可視光線や、人間の目に映らない赤外線・紫外線などがそうです。

それらのごく弱い光は暗視スコープの入光窓から取り込まれ、最終的に増幅されることになります。

②光子を電子に変換する

光は粒子と波の性質を同時にもっていますが、特に粒子としての性質を強調するとき光は「光子」と呼ばれます。この光子を電子に変換する仕組みとして、「光電子増倍管」(フォトマル・PMT)という装置が使われます。

この装置は「光子が金属などにぶつかると、その表面から電子が飛び出す」(外部光電効果)という現象を利用して、光子によって電子を取り出します。この時に飛び出す電子は「光電子」とも呼ばれます。

まず、装置に入った光は光電子増倍管の中で「光電陰極」(外部光電効果を起こすための電極)にぶつかり電子を取り出します。

光電陰極から飛び出した電子は電圧をかけられることで加速し、勢いよく「ダイノード」という電極に衝突します。このダイノードは「二次電子増倍電極」とも呼ばれ、光電陰極から出た電子がぶつかることでさらに電子を放出します。この時ぶつかった電子1つは複数の電子をダイノードから取り出すため、結果として電子の数が増えるのです。

それと同じことがいくつも設置されたダイノードで起き、電子の数はついに数十万から一千万倍以上にまで増やされます。このようにして、微弱な光は多量の電子へと置き換えられました。

③増えた電子を使って映像を映す

電子は揺れ動くことによって電磁波を生み出します。つまり先ほど解説していた装置は、光子によって大量の電子を取り出すことで、同じく大量の電磁波を発生させることを目指していたのです。

こうして大量に生み出された電磁波は、燐光体膜(特定の刺激を受けた場所が発光するスクリーン)に投射され映像として目で見ることができるようになります。以上が暗視スコープの「光を増幅する仕組み」です。

第1世代・第2世代で倍増感の仕組みが違う?

暗視スコープの基本的な仕組みとしては同じですが、一般的に市販されている第1世代・第2世代では光倍増管の仕組みが若干異なります。

そして、第二世代の光倍増管は第一世代よりも光倍増率が格段に向上しているのです。

それぞれの世代の光倍増管の仕組みはこちら

 

暗視スコープ選びに迷ったら↓↓

➾おすすめの暗視スコープ